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中国で「借金しても食
中国で「借金しても食べろ」と言われるほど珍重されている「上海蟹」。
正式には「シナモクズガニ」というモクズガニ科の淡水ガニですが、中国の長江(揚子江)流域の湖や支流で育ち、上海から出荷されるモクズガニだけが上海蟹と呼ばれます。
世界三大大河・長江は、河口から海水が大逆流する現象がたびたび起こり、海水と淡水が混じり合った汽水域が支流や湖にまで広がっています。この汽水域には、海の有機物が豊富に含まれているため、それを栄養にして育つ上海蟹は味に深みがあってみずみずしく、他水域や淡水に生息するモクズガニとは明らかに風味が違います。
中国では中秋節(9月)に上海蟹が解禁となり、一斉に捕獲・出荷がスタート。
出荷の際は暴れないように縄で十字にしばって竹の籠に入れ、上海から生きたまま(死んでしまったものはNG)空輸されるため、別名「飛行機ガニ」とも呼ばれています。
オスとメスで異なる味わい
上海蟹は繁殖期を迎えた10月~12月が旬とされ、メスはお腹に卵(内子)を抱えた10月~11月頃、オスは大きく白子が育った11月~12月頃が食べ頃と言われています。いずれも冬眠を前に栄養をたっぷり蓄えていますので、まさに脂の乗り切った滋味豊かな味わいが堪能できます。
甘みのあるしっとりとした蟹肉や、濃厚な蟹ミソはもちろんのこと、旨みがぎっしり詰まった卵、ねっとりとした深い風味の白子と、時期や性別によって多彩な味が楽しめるのも上海蟹ならではの醍醐味です。
上海蟹のおすすめの食べ方
何と言っても一番のオススメは、この時期にしか味わえない「蒸蟹(姿蒸し)」。
茹でる調理法もありますが、丸ごと蒸すことで卵や白子、蟹ミソとともに、旨みを逃さずに味わい尽くすことができます。
その他、紹興酒の中に上海蟹を漬け込んだ「酔蟹(酔っぱらいガニ)」というメニューも、ツウにはたまらない絶品。これは、香港や広東の「踊りエビ・酔っ払いエビ」(紹興酒に生きたエビを入れて食べる)から派生した食べ方で、ここ20~30年の間に広まったとか。
ただし、酔蟹は火を通していないので、体の弱い方や小さい子どもは避けたほうがいいでしょう。
“ツウ”だけが知る、上海蟹の食べ方
ちなみに、蟹は漢方で陰性(体を冷やす)の食べ物とされ、陽性(体を温める)の黒酢や生姜とともに食するのがいいと言われています。これに習い、中国では上海蟹に黒酢や生姜を使ったタレを添え、最後に砂糖の入った生姜湯を飲むそうです。
上海蟹のアレコレをご紹介しましたが、「何だか急に上海蟹が食べたくなった!」という方も多いのでは?
脂の乗り切った美味しい上海蟹を食べるなら、まさに今がチャンス!
この時期だけの贅沢な美味を、ぜひ堪能してみてはいかがでしょう。